アフターコロナ:新しい文化の幕開け
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新型コロナで世界の時計が10年早まったと言われています。ITがもっと普及し、テレワークが当たり前になる時代は日本企業では10年先(もっとかもしれませんが)と言われていました。しかし、COVID-19の蔓延で、経営陣も従業員もパラダイムシフトを余儀なくされ、この新しい文化はアフターコロナにも影響すると思います。我々はもう以前の状態には戻ることはなく、このまま前進することになるでしょう。というのも、現在の状態はグローバル企業では当たり前の光景でした。
2002年頃の外資系は海外や大阪―東京間はビデオ会議をしていましたが、設備費が高いので徐々に電話会議に移行。ですがCEOのタウンホールなどは海外からライブ中継がパソコンに配信され、会社から全社員に支給されたノートパソコンで自宅から参加したものです。チャットでライブに質問ができる機能ももちろんありました。また、私は当時社員教育に関するグローバルのプロジェクトに参加していたので、毎週1回は夜22時からオンライン会議に自宅から入っていました。あの頃のツールはオンラインでも音声だけのものでした。
私がプロジェクトリーダーを務めて在宅勤務制度を導入したのは、2008年。電話会議も2016年頃からはWhatsAppという国際電話ももちろん無料の電話アプリに切り替わりました。今、日本ではやはり顔が見れる安心感からか、Zoom会議が主流になりつつありますが、これも無料アプリですので世の中は進化しています。
戻れない私たちを待ち受ける未来とはいったいどんなものなのでしょうか。
ワークライフバランスが向上する
テレワーク制度が社内で確立されると、確実にワークライフバランスは向上します。介護をしながら子育てをしながらキャリアを活かして仕事に邁進することができます。また、午前中の早い会議や海外との遅い時間の会議も、自宅からこなすことができます。通勤時間が削減され、仕事に専念する時間が増えますし、就業後もすぐにプライベートな時間に無駄なく移行できます。家族と離れている間に災害が起こって帰宅難民になる可能性もなくなります。
我々が残業して仕事に没頭すると何を削るかご存知ですか?通勤時間は削れません、食事もある程度の時間は必要です。では、何を削ってしまうか。睡眠なんですね。睡眠時間は自分でコントロールできる唯一のものになってしまい、結果、パフォーマンスが上がらなくなったり健康を害します。こうなる前に、ワークライフバランスが取れる近未来的な(いえ、もうすでにやってますね)働き方が我々には必要です。
遠い人と簡単に繋がれる
ソーシャルディスタンスを採るのに、人と直接触れ合うのは推奨されていないのに、なぜ人とのつながりが広がるのでしょうか?例えば、会社のエリアミーティングを四半期ごとに開催していたある会社では、それをZoomで行なうようになりました。結果、エリア外からも別のエリアでのベストプラクティスを聞きたいと、Zoomに参加させてくれとなりました。さらには、こんなによい勉強会なら、四半期ごとではなくもっと身軽な形で毎月やらないか、それならうちのエリアもやるので参加して、みたいな広がりができました。結果、各エリアの1時間半ほどの勉強会が毎週開催されるようになり、参加者は全国から100も200人をも超える人数になったということです。
こんなつながりは、コロナ前では考えられなかったのではないでしょうか?グローバル企業ではありました。元々離れていますから、お互いからベストプラクティスを学び合う活動は以前からオンラインや電話会議でありました。グローバル人事ミーティングと称して毎月1回1時間から2時間の会議が、私が所属していたどの企業でもありました。でも、日本では九州の支店長が新幹線に乗って東京本社の会議に参加したりするのが当たり前だったと思います。それに1日か移動や前泊などを含めたら2日くらい費やしていたのが、自分のエリアにいて他の仲間の話を聞いた直後には営業にも回れる、なんて合理的な時間の使い方ができるようになりました。こんなフットワークの軽い世の中、素晴らしいと思いませんか?
とことん合理的になる
宅配便も、コロナ感染から逃れるために、受取印なしで玄関前に置いておいてもらうことが可能になりました。「えー、じゃあ今までの判子はなんだったのー?」と少々腑に落ちていない私ですが、とてもありがたい対策だと思います。老舗銀行や役所ではまだまだ印鑑が物言う感じですが、一般企業の請求書などは電子印でPDF化すればOKですし、契約書だって諸外国はそもそも署名だけですが日本は割印だのあらゆるところに捺印しますよね。きっと、そのうちなくなる文化なのではないでしょうか。ある銀行(もう創立何十年にもなります)は、創立時からサインでも押印でもどちらでも受理してくれました。
紙で回覧しないといけない文化もなくなるでしょう。給与辞令や転勤辞令、永年勤続表彰状など、社印を押印した原本を手渡しする必要はまったくありません。昔は表彰状に筆耕屋さんに手書きしてっもらって更に社印を押印してましたよね。さすがに今はプリンターで印字された表彰状かもしれませんが、それでも、そういうものは、PDFにしてメールで送ることもできれば、無くても構わないものもあります。どのように上司が真摯に部下に感謝やフィードバックを述べるかが大事なので、付随する辞令や表彰状はなくなっても構わないものだと思います。ただ、昇給や昇格だけは、WordのPDFでいいので、会社のフォーマットで作成する必要はあると思います。
あくまでも会社命令が優先
例えばテレワークをとっても、自分の権利だと主張する社員が多かれ少なかれ出てくると思います。しかしながらテレワークは福利厚生ではないので、あくまでも業務命令に従う必要が従業員にはあります。上司がミーティングを会社で朝10時にやると言えば、極力会社に出社してミーティングに参加させるようにしましょう。テレワーク制度が就業規則に書かれている以上、強制はできませんが、上司が会社で朝10時にやる合理的な理由さえきちんと伝えれば、従業員もそれに応えてくれるでしょう。上司の毅然とした態度で、且つパワハラととられないよう理路整然とした理屈を用いて、他の社員との公正性を欠くことなく組織のマネジメントをする必要があります。ここは恐れてはいけません。テレワークで働き方の自由を提供しても、会社を無法地帯にしてはならないのです。
収入の柱を数本持つ
内閣府が出している高齢社会対策大綱案には、「副業・兼業の普及促進」と謳われています。通常の日本企業なら、就業規則に副業禁止の項目があるはずです。外資系も多分に漏れず、日本にある外資系も殆ど副業禁止が書かれていました。その項目がなかった会社は私が勤めた中では1社だけでした。それほど、労働基準法で従業員が100%の能力を雇用されている企業に使うものだとされているのです。
ですが、去年までインバウンドだ東京オリンピックだと盛り上がっていた飲食店や観光・宿泊業は新型コロナで倒産の危機に直面し、交通機関は乗車率が5%とかで、イベンドやセミナー、幼児教育など3密が必至の業界は軒並み休業です。まさに青天の霹靂で日本人の様に収入を一つのソースに頼っている人は本当に苦しい思いをされているだろうと思います。
収入の柱は3本はあったほうが良いとされています。投資や不労所得に道を見出す人が今後は増えることでしょう。いえ、そのように世の中はシフトするべきと思います。
これらが、私が考えるアフターコロナの日本の近未来です。しなやかに変化の波に乗って新しい世界へ行きましょう。変化できる人だけが生き残れます。きっとワクワクする未来が待っていると思います。