【選択肢を持つために】真鍋淑朗教授が言う「調和的に生活することができなかった」発言について

kids with options

2021年のノーベル物理学賞に、日本出身で米国籍のプリンストン大学・真鍋淑朗教授が決まりましたね。日本人としては29人目の受賞者(注:日本関連地出身で現外国籍者を除く)となり、日本はこんな小さな国土に世界に誇れる突出した才能を開花させることができる、他に類を見ない素晴らしい国だと改めて誇らしく思いました。

今年は、東京オリンピック・パラリンピックも開催されました。日本は合計58個のメダル獲得で、第3位の獲得数となり大健闘しました。

こんな小さな国なのに、学校教育も戦後から横一列型で、個性を伸ばすことが難しい環境の中、こんな素晴らしい世界レベルの記録があるなんて、本当に凄いと思いませんか?

「協調性の中で生きられない」発言

真鍋教授が、「どうして日本に帰らなかったのか」という記者の質問に対して、「日本人は協調性を重んじる。自分は協調性がないのでその中で生きられない。アメリカでは自由に色んなことができる。」と回答しておられ、話題になりました。同氏は、1958年にアメリカ国立気象局に招聘されて渡米し、その後1975年にアメリカ国籍を取得されています。

戦中戦後を日本で過ごし、東大の博士課程まで進まれた方が、「協調性」がないとは私は思えません。おそらく、「周囲に簡単に同調するより、異論を提唱することが多かった」という感じなのではないかと推察します。私は良く、「同意はしないが理解はする」と人に言うことがあります。海外でもよく、”I don’t agree with you, but I understand you.”と言い、この考えが私には染みています。

一方で、16歳でアメリカに渡った私でも、日本人ならではの協調性が体中にしみわたっています。
他人と協調すること、協働することが、日本人の昔ながらの美徳であり文化なのだと思います。
なので、アメリカに渡った日本人の方々も、根底にはこの奥ゆかしい協調性の美徳がその血に流れているのではと思います。

おそらく、真鍋教授が窮屈と感じたのは、「同調へのプレッシャー」なのではと思います。
これが行き過ぎると、才能の芽が摘まれたり、行き過ぎた「忖度」に発展し、あるいは「おせっかいな推察」で他人の気持ちをあーでもないこーでもないとゴシップすることに繋がると思います。

個人主義のアメリカでは元々起こり得ない副作用であると思います。なので、真鍋教授はアメリカで生き易かったのでしょう。かく言う私もアメリカにいた時は、生き易かったです。

「頭脳流出」に向き合う

日本人ならではの「出る杭は打たれる」的な環境、プラス、研究予算が低い、ポスドクの環境が過酷すぎる、など様々な面で海外と劣っている日本の環境が、貴重な人材が海外の研究機関や企業から誘致され、外国への「頭脳流出」だと危惧されています。

政府や大学、民間企業にしっかり将来を見据えて計画を立てていただきたいものですが、でも、個人の幸せを考えるのであれば、常に「人生の選択肢」を持つことは良いことだと思います。

どこで花開こうと、日本人は日本人です。ただ、日本を恨んで海外に行ってほしくないですよね。
なので、私の考えは、とにかく「たくさんの選択肢を持つこと」。軽やかに世界を股にかけて、自分にベストな場所で花開いてほしいと願っています。
たまたま、それが日本じゃなかったって、いいじゃないですか。

そのために、リトル・リーダーアカデミーを通じて子供たちに選択肢を増やすお手伝いをしています。

「協調性」なんて他の人よりすでにあるんだから

日本人に生まれた人は、DNAに協調性が刷り込まれています。生まれただけで、すでにその意味を知っていて、行動できる素地がある。だから、わざわざ学校とかでそれを説かなくていいんです。他の国の人より、思いやりを以て強調する心がすでに備わっているんですから。

変にもっとそこを教育すると、前述した副作用が社会をはびこります。

だから、もっと大胆になっても大丈夫

そう、だからもっと大胆になっても大丈夫なんです。
「アメリカ的にリーダーシップ教育なんてすると、自分自分自分って自己主張が強くなったりしませんか?」と言う方がいらっしゃいます。
いいえ、リーダーシップは、それこそ他人を慮って成り立つものです。
なので、欧米式=自己主張と極端な結論を出さないでいただきたいです。

日本人は、すでに他人を慮る素地がある。なので、大胆に自分の意見を言う訓練をしても大丈夫です。

子どもたちに選択肢を

真鍋教授や私はアメリカへ飛び出しました。でも、日本にはまだまだ息苦しいのに、どうしていいかわからないで大人になってしまう人が数多くいます。
日本の中でも自己主張することやリーダーシップを発揮することは可能です。
先が不透明なこの時代に、強くたくましく生きていくための色んな選択肢を持てるスキルを是非子供たちに身に付けて人生を切り拓いていってほしいと思います。